
カウンセリングを受けるのが怖いという話
滋賀心理カウンセリングです。
2025年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
と、通り一遍の挨拶も礼儀としてはするものの、年末も年始もなく接客応対をしていたので気分的には平日がずっと続いている感じです。
好きでやってることですし、少しでも誰かの支えや助けになれているなら嬉しいことですね。
–
さて、新年早々に嬉しい話がありました。
本人の希望があって書きます。
約3ヶ月前から、わざわざ岐阜県の大垣市から2週間に1回ぐらいのペースで通ってくれている女性36歳なんですが
テーマが『カウンセリングが怖い』だったんです。
えっ、じゃあなぜ来る?
わざわざ辛い思いしなくていいですよ。
しかも大垣市からって遠いよ。
でも、そんなことはわかってて、あえて今回の大垣の女性は通ってくれています。
仮に大垣さんとします。
大垣さんはそもそも、物心ついたぐらいの頃から極端に引っ込み思案でビビりなタイプという自覚があったそうで
その原因は生まれ持っての性格というより本人が思うには『お母さんが厳しかったから怖がりになった』と思ってきたそうです。
とは言ってもウチに来て話してくれた時には『お母さんが厳しかったのか、自分が必要以上に怖がったのか今ではよくわからない。でもずっとそう思ってきた』と言っていました。
もしかしたら、お母さんが言い方が強いとか、期待が大きいとか、うまくいかなかったときのガッカリが大きいとかを大垣さんが感じていたのかもしれないし
もしかしたら、お母さんは問題なく普通だったけれども、何かの機会に大垣さんがショックやプレッシャーを受けすぎて自信を無くす経験があってそれを強く思い込んでしまったのかもしれない。
たしかに、PTSD(トラウマ)のようにお母さんが怒る顔が浮かんで怖くなって泣くということが何度もあったそうです。うーん。
どちらも有り得ますが、そこの原因追及や責任追及よりも、もう大垣さんは『どっちでもいいからもう気にしないようになりたい』と思うようになっていました。
とても良い考え方です。
けれども、小中高大と通ってきた学校の先生や先輩、バイトや就職で知り合ってきた上司や先輩など、自分の中で何をもってしてかは本人基準ですが
大垣さんが格上と見做した相手には極端にオドオドしてしまって、何でもかんでもプレッシャーに感じたり失敗を怖がり過ぎたりしてしまうのが当たり前になっているそうです。
それでは能力が発揮できないから、そもそも低い評価をされてしまいやすいし、能力の発揮以前に今までの経験の積み重ねすら成長材料として薄くなってしまってる可能性が高いです。
せっかく頑張ったのに、努力したのに、身に付く経験値が少なくていつまでも不器用だったり不運だったりを思いやすいパターンです。
例えば、何かの練習をして発表をする機会があったとして
お気楽でポジティブな人なら100の経験値になってしかもタイプ的にミスしにくいし、引きずりにくい。
逆に大垣さんのようなタイプは同じように練習と発表をしても10の経験値にもならず性格的にミスを引き寄せやすく、しかも引きずる。
これでは損しすぎです。でもよくあることなんです。かわいそうすぎますね。
実際、大垣さんも全く自分に自信がなく、期待されるのも注目されるのも嫌だし怖い。どうせ自分は大したことないから申し訳ないと思うそうです。
それでは何歳になってもどこで働いても辛いまま続いてしまいます。悪循環の繰り返しの結果です。
36歳の今も、「何もできない」「成長しない」「戦力にならない」「いてもいなくても一緒」といったことを周囲の目線から感じるそうで、不要な思い込みではあるものの、しかし実際せっかくの経験が成長に結びつかなくてこういった悪循環の連鎖と継続で大垣さんのようになってしまう人というのは意外と少なくないんです。
それで、もうそんなのはイヤだ、しんどすぎるということで大垣さんなりに変わりたくて、名古屋の心理カウンセリング2ヶ所に通ってみたそうなんですが、どちらも微妙だったそうです。
1ヶ所目は何のアドバイスもなく聞き流されるばかりで、ほとんど目も合わず、馬鹿にされていると感じたそうです。
もしかしたらそこのカウンセラーさんは傾聴に集中して大垣さんにいっぱい話させてあげようというスタンスだったのかなとも思いますが、大垣さんにとっては話すのも苦手なので居心地の悪い時間だったそうです。
2ヶ所目は逆で、『こうしてみたら?』『それは違う!』などガンガン意見を言うタイプのカウンセラーさんだったそうで、大垣さんは「そんな簡単に言われても」とか「また否定された」など攻撃されているように感じてしまって、余計に人が怖くなったと言っていました。
けれど、自分が不器用なのがまず有るから自分が悪いんだ、だからやっぱり改めて自分が変わっていこうとしないと変われないと考えて
3ヶ所目に少し遠いウチに頑張ってきてくれたということでした。
うーん。なるほど。。。
ウチの初手として『まず、普通に世間話ができる相手はいますか?』『愚痴を言えたり遊んでスッキリできる友達はいますか?』と聞いてみるとゼロとのことでした。
うん、そっか。両親や兄弟も話相手じゃないと思う?と聞くと、そう思う、と。
じゃあいきなりアドバイスとか考え方を変えるとかっていうのは極端すぎて難しいだろうし、急に仕事ができるようにもならない。急に仲良しができることもない。それは今は仕方ない。
だから、まずは普通に普通の話ができるように、世間話や無駄話や笑い話の練習はどうですか?と提案しました。
もちろん最初に2ヶ所のカウンセリングでの結果を聞けていたからできた提案です。
大垣さんは『確かに、そうなんです。目を見て人と話すことができないし、誰に何を言われても自分にはハードルが高すぎることばっかりで』ということだったので
レベル1ぐらいのコミュニケーションの練習として、何でもない会話をしていってみましょうということでウチでは取り組み始めました。
それから約3ヶ月で計6回。まだまだ発展途上でカウンセリングは本人が望む限り続きますが
一昨日の大垣さんには自然な笑顔が何度もあって、『今日はこの話がしたいんです』とノートにいくつもテーマを書いてきてくれて、嬉しそうに、早く話したいといった感じになっていました。
そして『カウンセリング、まだ怖い?』と聞くと、『あ、もう全然(笑)』と初回とは別人のように明るい顔が見られました。
まだまだ私以外にはものすごく人見知りで怖がりではあるし、仕事は面白くないし、プライベートに楽しみはない、友達もいない、実家にも居場所はない、けれど一人暮らしをする生活力もない。そういう感じでしっかりした自立はまだ先のことですが
それでも、ウチに来て話すことが楽しみになっている。怖くない話相手ができた。何かあったら話そうと思う相手がいる。それだけで毎日を生きられる。そう言ってくれています。
36歳にして大垣さんの中で初めて人付き合いができている感覚だそうです。
正直まだ難しい話はできていないし、精神年齢や作業能力などは低いと言わざるを得ないレベルだと思うし、それは大垣さんも自覚しています。
けれどもそれは生まれ持ってのどうしようもない器の小ささなのではなく、成長が始まっていなかったというだけのことじゃないかなぁと思うんです。
自信がなく不器用で要領が悪い。失敗ばかりする。それを許してもらえない、できるまで待ってもらえない、そういうことを早い時期に多く経験しすぎてしまって、何でもかんでも『怖い』が先に来ていただけで、
もし許されれば、待ってもらえれば、できた時に誉めて認めてもらえれば、成長していけるんじゃないのかなぁと思うんです。
給料をもらって仕事をしている以上、職場の人たちに大垣さんにだけ特に甘く優しく低いレベルの遅い成長をゆっくり見守ってもらうのが難しいのはわかっていますが、
でも、そうじゃないと大垣さんはずっと辛いままなんですよね。
それを、まずはウチが役割として最初に認めて許して褒めて大事に付き合うということをしてあげられたら、成長が始まる、早まるかなぁと。少しは大垣さんのためになるかなぁと、そういう思いです。
だって、どこにいても、何をしても、誰といても楽しいと思えず、緊張とプレッシャーと居心地の悪さと失敗の怖さばかりを感じて生きてきたなんてかわいそうすぎるでしょう。
頭も身体も普通だとしても成長しようがなかったということかもしれないでしょう。
※発達障害の観点はまた別の話になります。今回は、愛着障害やHSPはともかく、いまのところ発達障害はない前提で考えています。
大垣さんがウチに来るのを楽しみにしていて、いっぱい話したいと思っていて、よく笑うようになってきていること、とても嬉しく思います。
–
滋賀心理カウンセリングは
どんな悩み、経験、状態、精神疾患(の疑い)、発達障害(の疑い)でも大丈夫です。
浮気、不倫、犯罪、ダサいこと、恥ずかしいこと、性的なこと、身体的なこと、人に言えないこと、お金の話でも大丈夫です。
人間関係、性格や考え方、退職や転職、不登校や転校、イジメた側、イジメられた側の話でも大丈夫です。
恋愛、失恋、結婚、妊娠、出産、別居、離婚、子供についてでも大丈夫です。
親子関係、夫婦関係、兄弟姉妹、知人友人、先輩後輩、上司部下、生徒と教員など、人付き合いについてでも大丈夫です。
無気力、将来不安、見捨てられ不安、愛情不足、感情欠落、希死念慮、自殺願望、自傷行為の話でも大丈夫です。
ただ、
あまりに変な人や、なんか偉そうな人、ウチに対して失礼な人、常識や誠意が感じられない人は平気で受付拒否をすることもありますが、誠意には誠意で全力でお応えしています。
さぁ、今年も頑張っていきます。
滋賀心理カウンセリングでした。