単純にかわいそうな人が増えている話
滋賀心理カウンセリングです。
京都府は京都市で居酒屋をやっている40代半ばの方が来てくれました。
店舗を賃貸して、オーナーシェフの形で自身が経営者であり料理長であり店長という形の、一般的な居酒屋の大将です。
※今回のお話はご自身の希望で掲載します。
結婚していて子供もいる。
仕事大好き人間な面があり、雇われるより独立を考えるタイプの人。
念願叶って40歳で自分の居酒屋をオープン。
スタートダッシュもうまくいってコロナ禍直前での開店にも関わらず、大黒字ではないけれど赤字でもなく不況の波を乗り越えてきたそうです。
– – –
約2ヶ月前の何でもない日。
一見(いちげん)さんの来客がありました。
みんな50歳代っぽい男性グループ3人は入店直後は愛想よく明るく飲食していましたが、お酒が進むにつれて乱れだし、声が大きくなって騒がしいと他客から声が出だしました。
アルバイトの女の子が「他のお客様の迷惑になりますので、少し声を控えめにしてもらえますか?」と注意をしに行くと、男性グループは怒りだし
アルバイトの女の子の言い方が気に入らない、最初から無愛想だったと文句を言いだしました。
(ややこしいですが確かに女の子の愛想はよくなくて店長も気にしていたそうです)
変に納得できてしまって一瞬の躊躇があったものの、とは言えスタッフが絡まれているのを聞こえていながら放置もよくないと思い店長は謝りに行きました。
「すみません、ウチのスタッフが至らずで。ただ、周りのお客様もいますので少しお声を落としていただけませんか?スタッフにはちゃんと教育するようにしますので」と平身低頭。
そしたら男性グループはすんなりと「あぁ、いやいやすみませんでしたね。静かにします」と。
あぁよかった。大騒ぎにならずに済んだと厨房に戻ると、アルバイトの女の子が「私が悪いんですか?」と店長を睨みながら泣き出しました。
(えぇ~、いやいや。。。だって実際キミ無愛想やん。。。)と思いつつも、ご時世的に説教や注意をする勇気がなく、店長は甘やかしました。
「とりあえずお客さんに合わしとかんとあーゆーのは終わらへんやろ?だから仕方なく、な」と。
女の子はシクシクと何も言わずに仕事に戻りました。無愛想に。
その数分後。
さっきの男性グループ客が大きな声で「最近の接客業の人って、愛想が良い人と無愛想な人に極端に分かれるよなー」「あの女がおる時はこの店ナシやな」と。わざわざ聞こえるように言っています。
ただ、客の言い分もわからなくもないし、店やスタッフに絡んできている訳でもないから店長は気になりながらも聞き流してスルーしました。
そして男性グループ客は帰り際「店長、ごめんね!(笑)また来るから!次はおとなしくするし(笑)」と謝ってくれました。
声は少し大きいし賑やかではあったけど、基本的に店長からするとよくあるパターンという程度でした。
さぁその日の閉店後です。
女の子のアルバイトを迎えに来た男友達3人がその話を聞いて店長を逆恨みしたようで、店長に絡んで殴る蹴るの暴行をしたんです。
店長は右手を骨折。
女の子はなぜか「店長が悪い」と謝らず。
警察沙汰になるも店長としては話を大きくしたくないので被害届も出さず。
治療費だけ払ってもらえればもういい、関わりたくないと済ませたそうです。
翌日以降、女の子は当然のように連絡もなくバイトに来なくなり、いわゆるトンだ状態になりました。
女の子が辞めてくれたのは店長にとってもよかったのでそれはいいとして。
骨折した右手では仕事にならず、かといって仕入れや調理のほとんどを店長がしていたため誰も代わりができず、店は一時休業に。
店長の災難は続きます。
収入が止まった。けれど支払いはある。右手が使えない。問題を起こしたバイトは勝手に音信不通で辞めた。追いかけて文句を言う元気もないし使えないバイトなんてどうでもいい。
ただ、奥さんの態度が変わりました。
「私は最初からアンタの独立には反対やった」
えぇ?何をいまさらそんな。最初からちゃんと相談してきたやん。裏も表もなく話して理解してくれてたんじゃなかったっけ?
「アンタがイケイケで勝手に進めてきただけやん。私が何か言ってもどうせアンタは止まる気なかったやろから言わんかった」
えぇ?言いもせずに心の中では反対してたん?理解して同意してるようなことを言いながら?それはないで。。。
「私はアンタに巻き込まれただけやん。だから自営業なんか反対やったんや」
いや、だから反対してないんやろ?ってかそれを今になって言われても。。。
「アンタは私に我慢しかさせてないんやで。最初っから」
・・・・・いや。もう言うてること別人やん。うまくいってた時は何も不満ないって言うてたやん。俺、何回も確認してきたやん。一緒に進んできたつもりやったんやけど、マジか。。。
「一緒に進んできたつもりなのはアンタだけ。私もうアンタとおるのムリやわ」
な、なんでそうなる?俺が何か悪いことした?子供は?これからどうするんや?
「これからどうとかの前に私はもうアンタのことが嫌なんや。子供は連れていく」
えぇ・・・?子供の気持ちは?俺にも懐いてるやん?っていうか、ナンボなんでも自分勝手すぎひんか?俺また頑張るやん。頑張ってきてたやん。
「いや、もうアンタとはムリ」
– – –
そのタイミングでウチに来てくれました。
・・・・・何それ?奥さん、なんで?しょっちゅうケンカしてて限界きたとか?
「いや、ケンカしたことないんです」
じゃあ、うーん。意思の疎通ができてなかったというか、コミュニケーションがとれてなかった、ということかなぁ
「それが、あんなにまで別人のように態度が変わるほどには思い当たることはなくて」
浮気?
「わかりません。ないと思うんですけど」
・・・・・
「なんとなくそもそも被害者意識が強いというか、そういうのはあったように思うんですけど、そういうのをなくしていこう。俺はずっと一緒におるみたいな話をしてきてたつもりやったんですけど」
うーん。
「嫁は、自分ばっかり苦労してるとか俺は好きなことばっかりやってるみたいなことを思ってたってことですかね」
でも、だからって突然すぎますよね・・・?
「はい。っていうか、子供・・・」
そうですよね。そもそも何も悪いことしてないっていうか、メチャクチャ仕事がんばってきただけやし、その男性客グループも女の子のバイトも、店長がおかしいとかじゃないですもんね
「そうなんですよね。ただ、まぁ嫁の言い分を聞いてると、こっちがどう頑張ったとかツイてなかったとかじゃなくて、アンタは私の理想じゃないというだけのことかなって感じです」
・・・・・
「アンタとの生活は私の理想じゃない、と。突き詰めたらそういうことみたいなんですけど」
・・・・・
「・・・・・」
えーっと、ヨリ戻したいとか、別れたくないとか思います?
「もうわからないです。とりあえず右手が治ったら仕事はすぐにでも再開したいとして、子供とも離れたくないんですけど、嫁のことがわからなくなってます」
割とよく聞く話でもあるんですけど、男と女の違いが出たのかもしれないですね。
「違いですか?」
男は言うし聞く。無口とか黙って頑張るとかもあるけど、基本的には確認をして進んでいきます。仕事する時でも報連相が当たり前ですし
「はい」
対して女性は、聞かずに察しようとする。言わずに察してほしいと思う。言わず聞かず確認せずで進むことが珍しくないんです。
「え、それってズレていきません?」
まぁだから今の状態ですよね。でも女性が間違ってるとも言い切れないんです。配慮の現れですから。それでうまくいく家庭も昔は多かったんで
「じゃあ、自分がもっと伝えてもっと嫁の気持ちを聞くべきでした?」
いや、でも伝えてたし、聞いてきたんですよね?
「そうです。でも言われんかった。表面的には僕の邪魔をせんようにしてたって。うまくいくならうまくいってほしいって。やのに後から『思ってた。言わんかった』『言うてもアンタ聞かんかったやん』って堂々と言われて」
うーん。。。
「そんなん都合よすぎません?」
。。。。。
「女って、みんなそんなんですか?」
いや、そんなことはないですよ。ちゃんと言う、ちゃんと聞く、ちゃんと伝えるって人もいます。性別に関係なく。
「どうしたらよかったんですかね」
うーん。結果論ですよね。でも奥さんに聞いてみたら、奥さんは奥さんで奥さんなりに気持ちの流れとか『1回は言った』とか『私なりに伝えた』があるんでしょうし
「仕事で色々あるのは覚悟してます。仕方ないと思います。また頑張ります。でもなんで嫁の態度が変わる必要があるんですか?アテにしてるとか甘えてるってことはないけど、でも支えてくれるどころかなんで嫁がトドメを刺してくるんですかね」
・・・・・
「よくわからないのが、愛情は?と思うんです。今までいたのは何やったん?結婚までして、子供もできて。でも嫁からすれば後になって『流されて生きてた』『アンタに逆らえんかった』って。いやいや俺そんなに亭主関白でも殿様でも偉そうでもないしって思うんです」
うん
『自分なりに愛情をもって、夫婦として家族として大事にしてきたつもりなんですけど、嫁からは愛情を感じないのもそういえば振り返ると思うんです』
うーん。奥さんのその極端な態度が一時的なものかもしれないし、ヨリを戻したいかどうか、お互いもう終わっていいと思ってるならそれはそれで、いろんな方向性で伺っていきましょう
「えっ、こんなどうしようもないこと次から次に言ってきて自分でブチ壊しといて戻ってくることってあります?」
それはまぁ。でもそれこそ結婚までして子供もいるんですから。もしかしたら奥さんの中でタイミング悪くて怒りすぎちゃったとか
「いや、許せるかな?もう信用が・・・」
それはまぁ、今はわかりますけど。でもやっぱり一番に考えるべきは子供ですし。。。
「うーん。それはそうですよね。でも、うーん。。。」
– – – – –
といったお話でした。
店長は行動も考え方も言ってることも何も悪くないように思いました。
でも奥さんには奥さんの色々があるんでしょうから何とも言えません。
店長からだけしか聞いてないので極端な判断や認識はできませんが、最近こういう『ただの不幸』みたいな話をよく聞きます。
バイトの女の子は論外です。その男友達も論外です。
男性客グループは物分かりいいし、きっかけではあるけど問題ではないように思います。
昔からよくあるような話の気もするし、最近ほどやっぱり無愛想や薄情は増えてる気もします。
とにかく店長の気持ちに寄り添って立ち直れるように応援していきます。
スッキリせずモヤモヤが残る話です。
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ただ、店長かわいそうということだけではない気もしています。
奥さんだけから話を聞くと全く違った流れと現状が見えてくるかもしれません。
もしかしたら「奥さんおかしくない。奥さんが正しいですね」となるかもしれない。
聞いてないからわかりませんが。
聞いてもやっぱり「店長かわいそう。奥さん薄情」となるかもしれないし。
私が思うのは、その気持ちの確認を夫婦でできない関係性になっていることと、自分が自分がでどうしても話してしまうこと。
自分優先ばかりで相手を慮る余裕がない人が増えています。
まして子供もいるのに一方的に「私アンタ無理」となることが残念です。
結婚って何かね?
結婚する、子供を持つということの覚悟と責任は?
逆切れされそうで怖いしカウンセラーとしてわざわざ言うべきではないので言わない時が多いですが、そう思う夫婦は増えてきています。
ただ、自己中だとか簡単に別れるという前に、気持ち的に余裕を持ちにくくなっている世の中という面も大きいと思います。
滋賀心理カウンセリングでした。